赤い水について
水に赤い色がつくと、たいていの人は鉄だろうと考えますが、意外と多いのがマソガンです。栃木県のある市で、かつてこんなことがありました。毎朝十時になると、赤黒い水が出る。ふだんは色がついていないのに、ちょうどみんなが洗濯をしようという時間に限って、赤くなってしまうのです。
市民の苦情が殺到して、困った市長から相談を受けました。水をひと目見て、「これはマンガンです。水源の地下水からきたものです」と言ったら、市長は納得できない表情です。
「水源にあるのなら、どうして去年まではなんともなくて、今年から急に赤くなったんですか」
「ここの水道管は、引いてから五年目か六年目でしょう」と聞いたら、
「ちょうど五年目です。どうしてわかるんですか」。
マンガンというのは、水源にあっても最初は蛇口に出ません。パイプのなかにだんだんたまっていくのです。これがある限度を超えると、はがれ始める。水源に含まれるマンガンの量によって、五年目や一〇年目に突然赤
い水が出るのです。市長は市民に対して、「十時になると赤い水が出るんだから、みんな十時に洗濯するのをやめて、十一時にすればいいじゃないか」と言ったそうです。みんなが十一時に洗濯すれば、今度は十一時になると赤い水が出ます。たまっていたマソガンが水道管からはがれるのは、みんながいっせいに水を使うから。ダーッと勢いよく流れるためにはがれてくるのです。この市が特別なわけではなく、地下水を水源にしている場合、マンガンの出る水道はよくあります。ふだんは気づかなくても、お風呂の水を入れるときなど、勢いよく水を流すとマンガソが出てくる。風呂場に赤黒い筋がつくときなどは、マンガンが原因のことが多いのです。
鉄にしろマンガンにしろ、体に毒ではありません。むしろ鉄分は体によいというので、鉄ピンでお湯をわかしたりお茶を入れる人がいるぐらいですし、鉄分補給の飲み物も売られています。ただし、水道水に鉄分やマンガンが多いと、金気がしておいしくありません。朝のうちだけ鉄分が出るなら、水が透明になるまで流せばそれですみます。うちはずっと赤いから困る、という場合は、飲料水だけ浄水器を利用する。最近の中空糸膜入りのもので、鉄もマンガンも取れます。いちばん困るのは、洗濯のとき。
何度も洗っているうちに赤くなったり黒ずんでしまうのでは、洗濯になりませんし、洗濯に浄水器を使うわけにもいきません。「くみおき」という手もあります。鉄もマンガンも、水をくんでそのままおいておけば、下に沈澱します。とけているといっても、水のなかに浮かんでいるだけなのです。お風呂のお湯をひと晩おいて、きれいになった上澄みで洗濯します。
カテゴリ:家庭で浄水
